【年齢制限に注意】生前贈与で使える特例をわかりやすく解説
公開日:2020.07.17 更新日:2021.03.14

■ この記事で解説すること
「生前贈与」とは?意味を正しく知ろう
「贈与」とは、財産を無償で他人に与えること。
そのうち、相続税対策を主な目的として、被相続人が生前に行う贈与のことを「生前贈与」と言います。
「生前贈与」は、どのように行うのでしょうか?
何のために「生前贈与」をするのでしょうか?
子どもや孫に迷惑をかけないために、有効な「生前贈与」の方法を知っておきましょう。
生前贈与は「特例」を活用することで効果がある
生前贈与は、相続が発生する(亡くなる)前、つまり生前に自身の財産の名義を子や孫に変更しておくことができる一方で、贈与税が発生します。
一般的に、相続税より贈与税の方が控除額が少ないため、単純に贈与するだけでは、相続税対策にはなりにくいのです。
また、相続発生以前3年以内の相続人に対する贈与は、相続税の計算に持ち戻されるため、駆け込みの贈与は相続税対策にならないので注意が必要。
そこで、「住宅取得資金贈与の特例」や「教育資金贈与の特例」などの制度を利用することで節税となることがあります。
ただ、特定の相続人に偏った贈与をおこなうと、将来の遺産分割協議でもめる原因にもなりかねません。
基本的には、贈与者の「あげる」という意思表示と、受贈者の「もらう」という意思表示で成立する契約なので、口頭でも成立しますが、後でトラブルにならないように「贈与契約書」作成しておいた方がよいでしょう。
生前贈与によってかかる税金とは
暦年課税
暦年課税は、1年間で贈与を受けた合計額が基礎控除額(110万円)を超えると、その超えた部分に贈与税が課税されることを言います。
年間の贈与額が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も不要です。
相続時精算課税
相続時精算課税は、生前贈与をする際に2500万円まで贈与税を非課税にする一方、贈与者が亡くなった時に、その贈与した財産も相続税の計算に組み入れて相続税として課税する制度です。
わずかに相続税がかかってしまうような人が、110万円を超える生前贈与をしなければならない事情がある場合や、賃貸用のアパートなどの収益物件を先に子どもの名義に変え、家賃収入を子が受けられるようにして、相続財産を増やさないようにする…というような場合に有効な方法となります。
ただし、相続時精算課税は、60歳以上の父母、または祖父母から20歳以上の子、または孫に贈与する場合に選択できる制度です。
この制度を利用する場合は、贈与を受けた翌年の確定申告にて申告書を提出する必要があり、これを忘れると通常の贈与として贈与税が課税されてしまいます。
さらに、一度相続時精算課税制度を利用すると、暦年課税の110万円の非課税枠を使うことができなくなってしまうので、注意が必要です。
子や孫へ贈与しても贈与税が非課税になる特例
教育資金贈与の特例
子や孫に教育資金を贈与する場合、1500万円までは非課税になる制度です。
対象となる贈与は、以下の通り。
- 学校に直接支払われる入学金や授業料
- ランドセルや教科書などの学用品の購入代金など
- 学習塾など学校以外の教育機関への支払いに対する贈与(500万円まで)
結婚子育て資金贈与の特例
子または孫に対して、結婚資金などを一括贈与する場合、1500万円までは非課税になる制度です。
受贈者が贈与者の子もしくは孫で、20歳以上50歳未満であれば利用できます。
対象となる贈与は、以下の通り。
- 結婚式の費用
- 新居への引っ越し費用
- 子供の治療費など
住宅取得資金贈与の特例
子または孫に対して、住宅取得資金を贈与する場合、3000万円まで非課税となる制度です。
受贈者が贈与者の子もしくは孫で、20歳以上、年間所得が2000万円以下であれば利用できます。
また、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅を取得し、移住することも条件となります。
住宅購入費用はもちろん、以下のような費用にも適用されます。
- 建物建築費用
- 増改築費用
- リフォーム費用など
有効な生前贈与のポイント
- 「教育資金贈与の特例」「結婚子育て資金贈与の特例」「住宅取得資金贈与の特例」などの制度を利用することで、節税となることがある。
- 1年間の贈与額が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も不要。
- 子や孫、贈与者の年齢が利用のカギになる制度が多いので、注意が必要。
■ 記事監修について

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