【チェックシートつき】生前整理は70歳までに!親子ではじめる終活
公開日:2020.07.19 更新日:2021.02.28

久しぶりに実家に帰ったら、収納に何十箱もあるのに「ティッシュ買ってきて」と頼まれた。
冷蔵庫の中に、賞味期限切れの食材が詰め込まれていた。
食卓の上が、食事ができないほど物で溢れていた……。
進学や就職、結婚を機に実家を出た人の中には、親の家を訪れるのは年に1〜2回程度という人は少なくありません。
しかし70歳にもなれば、そろそろ親の衰えが目立ち始めます。
冒頭のような変化は、親の衰えのサイン。
サインに気付いたら、「生前整理」のはじめどきです。
親の『生前整理』をもめずに進める方法と生前整理をおこなうメリットを見ていきましょう。
両親の生前整理を始めるサイン
- 物の管理ができなくなってきた。(日用品のストックが多すぎる)
- 清掃や洗濯が上手くできなくなってきた。
- 食卓に物が置いてあり、物の隙間で食事をする。
- 賞味期限が切れたものが多くある。(食材のストックが多すぎる)
- 繰り返し同じ話をする
- 動作が遅くなってきた
- 若い頃好きだったこともしなくなってきた
- お風呂に入る回数が減ってきた
- 怒りっぽくなってきた
■ この記事で解説すること
生前整理は、あせらず「物・心・情報」の順に
親の衰えのサインに気付いた後、親に生前整理を勧めるには、どうしたら良いのでしょうか。
普段からコミュニケーションを取っていないのに、突然「生前整理をしよう」と持ちかけても、親は動いてくれないでしょう。
離れて暮らしていると、子どもは帰省するタイミングで「片付けを終わらせたい」と考えがちですが、
一方で、多くの親は子どもや孫との交流を楽しみにしています。
こうした認識の違いから、喧嘩になってしまう可能性は高く、子どもは結果を急いでしまい、生前整理をするどころか、親子関係を壊してしまうことも……。
望まないトラブルを避けるために
親と一緒に生前整理をするときは、下記を意識してみましょう。
・計画を立てて行うこと
・親の生前整理の前に、自分が生前整理をしてみること
まずは自分が生前整理を経験することで、親に生前整理を勧めるときに、親の気持ちを理解することに繋がるわけです。
生前整理のはじめかた

では、自分の生前整理を始める場合、何から手を付けたら良いのでしょうか。
生前整理は、「物・心・情報」の順に進めるとスムーズです。
まずは部屋を見渡してみることから
まずは部屋にある物を、「要る・要らない」に分けてみましょう。
迷うもの、誰かに託したいものは「一時保管・誰々に託す」として、
思い出の物は「思い出箱」に入れていきましょう。
一般的に、思い出の物を集めると、アルバムや写真を含め、一人あたり衣装ケース2杯分くらいになります。
それをさらに、「要る・要らない・迷い・移動」に4分類し、みかん箱1箱程度に厳選すると、施設に入るときにも持っていける場合が多く安心です。
「要らない」なら処分し、迷ったら「一時保管」して、半年の期限を決めて再度判断すると良いでしょう。
写真を整理すると、人生が豊かになる
続く「心」の整理は、思い出の物を整理することで、自分の人生を振り返る作業です。
特に写真は、多くの人が大量に所持しており、遺品整理の現場で最も対処に困るもの。
写真の整理には、「ベストショットアルバム」作りがお勧めです。
写真を厳選し、1枚1枚に年月日や場所、コメントを添えれば、さながら自分史のようになり、写真見返すことで自分を客観視でき、幸せだったことや頑張ってきたことに改めて気付くことができます。
完成した「ベストショットアルバム」を見せると、関心を持つ親は多いので、
まずは自分の「ベストショットアルバム」を作り、その後一緒に親のベストアルバム作りをすることが、
親の生前整理のきっかけとなるかもしれません。
「生前整理」は最後の1秒まで生ききるための「生き支度」
続く「情報」の整理は、
自分に万が一のことがあったときに備えて、遺された家族のために、
銀行の通帳や保険証、介護や葬儀の希望、連絡してほしい相手先などをひとまとめにしておく作業です。
重要なのは、何度でも簡単に整理し直せるようにしておくこと。
生きていれば気持ちや関係性は変化するため、情報を古くしないことが大切なのです。
今はまだ考えられないところは空けておき、考えられるようになったら埋めれば良いでしょう。
財産情報は、ファイルに通帳や証書などをまとめて入れておくだけでも十分。
スマホやパソコンなどのパスワード情報も同様です。
生前整理を始めるのは、早ければ早いほど良いです。
自分の人生のやり残しに早く気付けるだけでなく、早く決断し、行動に移すことができます。
「物、心、情報」の整理ができれば、生前整理の完遂です。
「生前整理なんて縁起でもない」「死に支度だ」などと言う人もいますが、
生前整理はむしろ、最後の一秒まで生ききるための「生き支度」。
親の生前整理を促すために、まず自分の生前整理をはじめてみる。
それが、残りの人生をより充実させるきっかけにできるなら、いいこと尽くしではないでしょうか。
生前整理を進めるうえで「やってはいけないこと」・「NGワード」
やってはいけないこと
- 親の持ち物をバカにする
- 片付けを急かす
- 親の物を勝手に捨てる
- 怒る
- 親をバカにした言動をする
NGワード
- こんなのいつ使うの?
- いつになったら片付けてくれるの?
- 私たちに迷惑をかけないでね。
- もう捨てるよ。
- いい加減にしてよ。
- 早く捨てて。
生前整理のメリット
人生を振り返ることができる
思い出の物や写真を整理することで、幸せな記憶や大切な物や人に気付くだけでなく、夢や目標、興味があったことを思い出し、新たに挑戦するきっかけとすることができます。
自分が大切にしてきたものを守れる
大切にしてきた物の価値が分かり、誰かに引き継ぐ選択ができるだけでなく、要らないものは処分し、隠したい情報は隠し、自分の名誉を守ることもできます。
家族や親しい人に迷惑をかけない
適切な手順で「物・心・情報」の整理がしてあれば、死後、遺品整理や相続、死後事務などで、家族や親しい人に迷惑をかけずに済みます。
■ 記事監修について

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相続、遺言、終活、債務整理、不動産登記、会社設立、定款変更、建設業許可申請など、多岐に渡ってサポートを行っております。
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