不動産相続はほとんどの家庭にあてはまる!不公平になりやすいポイント
公開日:2020.10.05 更新日:2021.01.03
不相談相続は「不公平」が前提
相続でもめるのは、高額な遺産があるケースだと思われているかもしれませんが、
実際に遺産分割協議でもめごとが起こって調停になっている件数の多くは、遺産額が5000万円以下の一般家庭です。
中でも、不動産相続でもめやすい理由のひとつとしては、現実的に分割することが難しいことが挙げられます。
実際に土地を分割することも容易ではありませんし、共有持分のみでは不動産の価値が大きく下がってしまうためです。
では、なぜもめるのでしょうか?よくある「大ゲンカに発展する理由」や「対策」を解説します。
不動産相続で揉めやすい理由
①不動産を誰が取得するかでもめる
不動産は、現金のように分割できないので、基本的には1人の相続人が単独で取得することになります。
すると、誰が取得するのかという問題が起こります。
不動産がひとつしかなく、複数の相続人が取得を望んだ場合はもちろんですが、
1人が取得を望むケースでも、他の相続人との間で相続分の不均衡が起こるため、もめる場合が多いです。
また、たったひとつの不動産が自宅の場合は、
そこに住み続けたい人と、売却・賃貸したい人など、相続人同士で希望が異なるため、もめやすくなります。
②不動産を相続したはいいものの、「代償金の支払」ができなくてもめる
ひとつの不動産を、1人の相続人だけが相続することになると、
その相続人が他の相続人に対して代償金を支払わなければならない場合があります。
相続財産として3000万円の不動産と600万円の預貯金があり、相続人は長男、次男、三男の3人というケースを考えてみましょう。
ケース1:長男が実家を相続、他の兄弟は預貯金を相続した場合
長男
家を相続:3000万円
次男
親の預金:300万円
三男
親の預金:300万円
=>不公平感からもめやすい
ケース2:長男が実家を相続するが、他の兄弟との差額を現金で支払う場合
長男
家を相続3000万円−1800万円=1200万円
次男
親の預金300万円+長男から900万円=1200万円
三男
親の預金300万円+長男から900万円=1200万円
=>長男が支払えない可能性が高い
この場合、もともとの法定相続分は、3人ともそれぞれ1200万円ずつ(3分の1)です。
しかし、長男が3000万円の不動産を相続して、次男と三男が300万円ずつ預貯金を相続するとなると、長男の取り分が他の2人よりも2700万円も高くなります。
この不公平を解消するためには、不動産を相続する長男が、代償金を他の相続人に支払わなければいけません。
長男が弟2人にそれぞれ代償金として900万円払えば、3人ともそれぞれ1200万円ずつとなり、公平になります。
ところが、そもそも代償金の金額をいくらにするかということでもめるケースも多く、長男が代償金の支払をしない(できない)ことで問題が発生するケースも少なくありません。
また、その不動産が実家・自宅であり、長男がもともと親と同居していた場合などには、長男が相続できないと住居を失ってしまうことになります。

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③不動産の評価方法でもめる
誰が相続するか、代償金がいくらになるかを決めるため、不動産を評価するのですが、その評価方法でもめることが多いです。
不動産の価格は変動するため、いつの時点を基準にするかで価格が変わるうえ、
実勢価格や相続税路線価、固定資産税評価、路線価など、評価方法によっても評価額が変わります。
さらに、実勢価格は、査定を依頼する業者によって、数百万円以上の差額が発生することもあります。
不動産相続の際の注意点
不動産を「共有」にしない
相続でもめて、遺産分割協議が長引いてくると、つい不動産を相続人全員の共有にしてしまいたくなるかもしれません。
しかし、不動産を複数の相続人で共有相続する際には注意が必要です。
例えば一筆の土地を子3名で3分の1ずつ相続した場合、不動産を売却する際には、子全員の協力が必要となります。
また、自らが相続した3分の1の持分では不動産の価値が大きく下がってしまいます。
そのため、1つの不動産を複数の相続人で持ち合う、「共有状態」は避けたほうが良いでしょう。
不動産は相続人の1人で相続するようにし、不動産以外の財産をその他の相続人が相続するなどの分割が望ましいです。
相続財産が不動産しかなく、その不動産が1人の相続人の自宅ではないのなら、
売却を前提として売買代金を相続人間で分割するという方法も検討すると良いでしょう。
不動産相続で揉めないために
不動産相続に関する遺言書を作成する
相続、遺産分割での不動産のトラブルを防ぐには、遺言を残しておいてもらうことが有効です。
これまでご紹介したトラブルや争いの原因の多くは、遺言がなく、相続人同士で遺産分割協議をして決めるしかないために発生しているものです。
遺言があれば、基本的には遺言に従って相続するため、面倒な遺産分割協議や不動産の評価などをしなくても済みます。