【判断方法は3つ】認知症の親の遺言書は無効になる?!遺言能力の判断方法を解説

公開日:2020.11.10 更新日:2021.03.14
認知症の親の遺言書は無効になる?! 遺言能力の判断方法を解説 - 相続オナヤミ相談 花沢事務所

遺言書がすべて有効になるわけではない


遺言書は、すべてが有効なものとして機能するわけではありません。


「遺言能力がある」人が作成したもののみ有効とされます


有効かどうかの判断基準「遺言能力」とは?


「遺言内容を理解し、遺言の結果を弁識しうるに足る意思能力」のことを、法律の世界では、遺言能力といいます。


遺言能力の有無が、無効リスクを確認するうえで大きなポイントとなります。


認知症は「遺言能力がない」とみなされてしまうのか


ひとえに「認知症=遺言能力(有効となる遺言書を作成できる能力)がない」ということではありません。


また、境界線がはっきり分かれているというよりは、状況によって判断基準が変わることが多いのです。


認知症の診断を受けていても、遺言の有効性が認められた裁判例はあります。


しかし、後日の紛争リスクを回避するためにも、遺言能力の有無については慎重に判断する必要があります。


とくに高齢者は、認知症の診断結果によって遺言が「無効」となる場合が高まる


医師から、認知症や認知症の疑いがあると診断されている場合は、遺言能力(意思能力)がなく、無効となる可能性が特に高まります。


意思能力がないと疑われる場合には、遺言者が成年被後見人となっているケースもあります。


一方で遺言は代理で行うことができないので、後見人が代わりに行うということはできません。


すなわち、遺言者が成年被後見人となっている遺言は無効になります。


認知症の疑いがある場合は、2名以上の医師が立ち会い、一時的に意思能力が回復し、遺言能力があることを、医師たちに証明してもらわなければなりません。


ただし、遺言作成時に証明ができたとしても、相続発生後に遺言の有効性について争われるリスクもありますので、慎重に判断する必要があります。


遺言能力(意思能力)の有無を判断するには


「遺言」にまつわる過去の裁判例では、下記3つの要素から遺言能力(意思能力)の有無を判断しています。

  • ① 精神医学的観点 
  • ② 遺言内容の複雑性
  • ③ 遺言の動機、理由、遺言者と相続人・受遺者との人的関係


遺言能力チェック① 精神医学的観点


意思能力は判断能力の問題なので、遺言時の遺言者の状態がどのような状態にあるのかという点が重要です。


医師の診断書などがあれば、その状態を表すものとして非常に有効です。


ただし、実務上は必ずしも適切な診断書を得ることができるわけではありません。
そのような場合は一つの基準として、「長谷川式簡易知能評価スケール」が利用されるケースが多いです。


なお、「認知症」=「意思能力がない」ということではなく、総合的な判断となります。


遺言能力チェック② 遺言内容の複雑性


裁判例などでも考慮されているものとして、「遺言内容がどのようなものだったか」という点があります。


意思能力とはつまり、遺言の内容や効果を理解した上で意思決定できているのか?という点がポイントなのです。


遺言といっても内容はさまざまで、単純な内容の遺言なら理解しやすい一方、複雑な内容の遺言は、たとえ意思能力があったとしても理解されにくいでしょう。


そのため、単純な内容のほうが「意思能力があった」とされやすくなります。


例えば、「A銀行預貯金は甲に、B銀行預貯金は乙に、自宅は丙に…」という遺言に比べれば、「財産の全てを○○にあげる」という内容のほうが意味を理解しやすいはずです。


遺言能力チェック③ 遺言の動機、理由、遺言者と相続人、受遺者との人的関係


遺言の動機や理由、遺言者と相続人・受遺者との人的関係については、遺言書の内容には現れません。


一方で、あらゆる諸事情を考慮して、遺言者の意思として「普通である」「合理性がある」という内容のものであれば、遺言者しっかりと判断したということで、意思能力はあると捉えられるケースは多くあります。

分かりやすい事例

  • 背景:
    遺言者に配偶者・子どもはおらず、妹と弟がおり、妹はとてもよく介護などをしてくれたのに対して、弟とは仲が悪く、10年以上連絡すら取っていないという事情があった

    遺言内容:
    「財産を妹にあげる」という決断をした

    遺言能力に関する考察:
    遺言者は合理性をもってきちんと判断できたという根拠が明確です。そのため、遺言者には「意思能力があった」という方向に働きやすくなります。




認知症でなくとも、遺言ができない場合がある


15歳未満は遺言できない


遺言は、代理で行うことができません。親などの親権者が代理することもできません。


一方で遺言には、未成年者などの行為能力制度の適用もありません。
そこで民法は、「15歳に達した者は、遺言をすることができる」としています。


そのため、15歳未満の場合は、親の同意があろうがなかろうが、遺言はできません(遺言を作っても無効です)
15歳に達した者は、親の同意があろうがなかろうが遺言はできます。


ただし、15歳以上でも、認知症やその他精神疾患により意思能力がないとされた場合には、遺言能力はなしとされるので注意が必要です。


■ 記事監修について

司法書士法人 花沢事務所
司法書士法人 花沢事務所
創業39年、横浜・横須賀・東京丸の内に事務所を構える司法書士事務所です。
相続、遺言、終活、債務整理、不動産登記、会社設立、定款変更、建設業許可申請など、多岐に渡ってサポートを行っております。
相談実績は10,000件を突破、各メディアや書籍、セミナー登壇実績も多数あり。各事務所にて無料相談会を実施中です。(平日夜19時まで、土日祝日も相談可能)

ご相談はお気軽に

0120-316-711 平日:9:00〜19:00/
土日祝も対応:9:00〜18:00
無料相談フォーム

ご相談はお気軽に

0120-316-711 平日:9:00〜19:00/
土日祝も対応:9:00〜18:00
無料相談フォーム
相談件数
10,000
突破!
VOICE OF CUSTOMER

お客様の声

1分でカンタン問い合わせ