相続放棄を迫られても焦らないで!注意点や限定承認との違いを解説

公開日:2020.11.15 更新日:2021.02.28
相続放棄を迫られたらどうするか - 相続オナヤミ相談 花沢事務所

相続放棄迫られても焦らないで!後悔するまえに冷静に判断を


相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の財産に対する相続権の一切を放棄することです。


法規の対象となるのは、被相続人のすべての財産であり、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、負債などのマイナスの財産も含まれます


そのため、相続を放棄した場合、プラスの財産もマイナスの財産も、いずれも相続人が承継することはありません


逆に、相続放棄をすることで「プラスの財産」も放棄することになり、かえって損となるケースも少なくないのです。


相続放棄を選択する前に、一度司法書士に相談することもおすすめです。

相続放棄を選択すべきケース


①明らかに負債が多い場合


相続放棄は、資産・負債のいずれも相続による承継を否定する制度です。


そのため、プラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)を見比べた結果、マイナス(負債)が多いという場合は、相続放棄をすることで相続によって損害を被ることを回避することができます。


例えば、被相続人が莫大な借金を残して亡くなり、被相続人の財産だけでは返済に足りないというケースでは、法定相続人がこれを相続すると莫大な借金返済義務を負ってしまいます。


しかし、相続を放棄すればそのような負担を被ることはありません。


このようなケースでは、相続放棄について積極的に検討するべきでしょう。


②そのほかの場合


・相続問題に巻き込まれたくない場合
・被相続人の財産を特定の相続人にすべて承継させたい場合(事業承継等)


ちなみに、相続放棄を行った場合、その相続人は相続開始当初から法定相続人ではなかったことになるため、そのほかの相続人の相続割合が増えたり、相続権がなかった者が相続権を取得したりできます。


なお、相続放棄を行った者に子がいたとしても、当該子が被相続人の財産を代襲相続することはありません。


もしも自分で調査や判断をするのが難しいと思ったら、まずは司法書士へ相談してみましょう。


③代襲相続についても考えておく


例えば、「父、母、子1人」という家族構成の場合、父の財産は母と子が法定相続人となります。


しかし、父の相続が発生した時点で子がすでに亡くなっていた場合、子の子ども(父から見て孫)が子の相続分について代襲相続することが認められています。


他方、子が死亡したのではなく、父の相続を放棄したような場合では、子の子ども(父から見て孫)の代襲相続は発生しないとされています。


したがって、この場合は子も孫も父の財産を相続することはありません。


「父、母、子1人」という家族構成の場合、父の両親・兄弟姉妹も他界しているという場合は、子が相続放棄すれば母のみが相続人となります。


父の両親の両方、または片方が存命であれば、子が相続放棄すれば親と母が父の法定相続人となります。


父の両親は他界していても、父の兄弟姉妹の誰かが存命中であれば、子が相続放棄すれば母と兄弟姉妹が法定相続人となります。


相続放棄を選択すべきないケース


限定承認ができる場合


相続財産について全体が把握できていないため、財産がプラスであるのかマイナスであるのかわからないという場合、「限定承認」という手続きが有効なケースもあります


限定承認とは、相続財産に資産と負債が混在する場合、資産額に限定して負債を相続する相続方法です。


プラス財産を超えない範囲に限り、マイナス財産を相続するという便利な相続方式です。



明らかにマイナス資産がプラス資産より多い場合は「相続放棄」


たとえば、プラスの遺産が100万円、マイナス資産が150万円以上あるとわかっている場合などが当てはまります。


このケースは、明らかに相続分がマイナスになるので、迷わず相続放棄を選択しましょう。



マイナス資産の範囲が漠然としか判明していない場合は「限定承認」も要検討


たとえば、プラスの資産が100万円あるが、マイナス資産が50万円~150万円の範囲と漠然としか判明していない場合などが当てはまります。


このケースは、相続放棄だけでなく、限定承認を選択することも検討すべきです。



相続放棄と限定承認の違い


限定承認も相続放棄と同じく、相続開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

しかし、限定承認は、法定相続人が複数いる場合、「相続人全員が共同で行わなければならない」とされています。


つまり、相続人のうち1人でも反対する者がいれば、限定承認を行うことができません


このように、使い勝手が良くないため、限定承認が行われているケースは少ないのが実情です。


相続放棄…相続財産がトータルマイナスであることが明白な場合に活用


=>3ヶ月以内に家庭裁判所に申述が必要です。単独で申述できます。



限定承認…相続財産のトータルがプラスかマイナスか判然としない場合に活用


=>3ヶ月以内に家庭裁判所に申述が必要です。相続人全員で申述する必要があります。



相続放棄を強要されたら


他の相続人やそれ以外の誰かから相続放棄を強要されても、応じる義務はありません


きちんと相続財産の調査をしてから相続放棄をすべきか否か判断し、する意思がなければ相手と交渉をし、自分の権利を主張すべきです。


もし、自分で調査や判断をするのが難しいと思ったら、まずは司法書士へ相談してみましょう。


既に相続放棄をしてしまった場合でも、詐欺や強迫によるものであれば、それに気づいてから6カ月以内なら取り消すことは可能です。


しかし、いったん相続放棄をしてしまうと、単に「やっぱりやめた」という理由での撤回はできません。


安易に相続放棄をすることは避けましょう。

■ 記事監修について

司法書士法人 花沢事務所
司法書士法人 花沢事務所
創業39年、横浜・横須賀・東京丸の内に事務所を構える司法書士事務所です。
相続、遺言、終活、債務整理、不動産登記、会社設立、定款変更、建設業許可申請など、多岐に渡ってサポートを行っております。
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