親の借金を相続放棄する前に!確認事項と注意点を解説

公開日:2020.07.12 更新日:2021.02.24
相続放棄 - 花沢事務所 相続オナヤミ相談


相続放棄とは、遺産相続の権利を放棄すること


相続放棄をする場合、原則として、相続が発生したことを知ったときから、3ヶ月以内に手続きを行わなくてはなりません。


しかし、故人と疎遠である場合など、逝去の事実のみならずそもそも自身が相続人であることも知らず、


債務についての通知を受け取って初めて自身が相続人であることを知り、慌てて専門家に相談するというケースもあります。


相続のトラブルに巻き込まれる前に、相続放棄の方法や注意点などを知っておきましょう


借金を相続放棄をしたほうがいい場合とは


①明らかに借金(債務)が多い場合


相続する借金が資産よりも少なければ、相続した財産から返済を行えばよいですが、確実にマイナスのほうが多い(債務超過)場合は、相続放棄をしたほうが良いでしょう。


②相続問題に巻き込まれたくない場合


故人や他の相続人との人間関係が希薄であったり、他の相続人との関係が悪く、「遺産分割協議に参加したくない」という場合は、相続放棄をしたほうが良いでしょう。


③特定の相続人に承継させたい場合


自分が相続放棄することで、他の相続人にすべて相続させたいと考えている場合は、相続放棄をしたほうが良いでしょう。


相続放棄の流れ


相続放棄は、原則として、自分が相続人になったことを知ったときから3か月以内」に家庭裁判所に申立をしなければなりません。


期間内に申立をしなかった場合は、相続することを承認したことになってしまうので注意しましょう。(単純承認)


①申立書に必要事項を記載し、署名・押印をする

被相続人の死亡の記載がある戸籍と住民票、自分が相続人であることがわかる戸籍も必要です。
(実印である必要はありません)


②家庭裁判所に申立書を提出する



③家庭裁判所で書類の確認をした後、「照会書」が送られて来る

「照会書」は、この相続放棄の申立が、申立人本人の真意に基づいてなされたものであるかを確認するための書類です。


質問事項がいくつかあるので、それに回答をする形で記入し、家庭裁判所に返送しましょう。


④特に問題がなければ、「相続放棄申述受理通知書」が届く

債権者から相続放棄をしたことを証明する書面を求められた場合は、「相続放棄申述受理通知書」を提示すれば問題ありません。


これで「相続放棄」が認められたことになります。


3か月過ぎていたら相続放棄はできないの?


3か月の期限は、申立をするまでの期限です。


3か月以内に申立をすれば、万が一その後の手続きが長引いて、相続放棄が認められるのが3か月を経過してしまっていても問題はありません。


親族関係が希薄で、亡くなったこと自体知らなかった場合は、「亡くなったことを知ってから」3か月以内になります。


被相続人の死亡から3か月経過している場合は、相続人が相続を知ったときの起算点を証明する書類の添付や上申書をもって裁判所に経緯を説明する必要があります。


3ヶ月を経過してしまっても、すぐにあきらめないで!


3か月を経過してしまっても、絶対に相続放棄が認められないというわけではありません


たとえば自分が相続人であることは知っていたけれど、3か月経過後に債権者から督促が来て多額の借金があることが判明した場合など、特別な事情があれば、3か月経過後の相続放棄も認められることもあります。


あきらめずに専門家に相談してみることが重要です。


逆に、3か月を経過していなくても「相続放棄」ができなくなってしまう場合がある!


たとえば、下記のようなケースは相続を「単純承認」をしたとみなされ、相続放棄ができなくなってしまうので注意しましょう。

  • 相続財産である預貯金の相続手続をした

  • 債権者からの催促に応じて被相続人の債務の一部を弁済してしまった

  • 他の相続人との遺産分割協議に参加した

  • 相続人としての地位を認めるような行為をした


相続放棄の前に確認しておきたいこと


①相続人ではなくなる


相続放棄をすると、プラスの財産も含めて全ての相続ができなくなります


②相続人としての地位を認めるような行為をしてはいけない


相続放棄をするつもりなら、相続人としての地位を認めるような行為がどんなことかを把握しておきましょう。


③下位の相続人に相続権が移る


上位の相続人が相続放棄をした場合、下位の相続人に相続権が移り、債権者からの催促が被相続人の兄弟姉妹に行ってしまうことがあります。


できれば事前に他の親族にも相続放棄をすることや相続権が移ること、必要に応じて相続放棄の手続きを取ってもらうことを説明しておきましょう。


④遺産分割協議を選択したほうがいいケースもある


例えば父親が亡くなった場合で、相続財産をすべて母親に相続してもらうために、子どもたち全員が「相続放棄」をしてしまうと、上記のように下位の相続人に相続権が移ってしまうため、母親はその人たちと遺産分割協議をしなければならなくなってしまいます。


母親にすべて財産を相続させたい場合、子どもたちは「相続放棄」をするのではなく、「母親がすべての財産を相続する」という内容の「遺産分割協議」をしたほうがよいでしょう。

相続放棄 5つのポイント

  • 原則として、相続が発生したことを知ったときから、3ヶ月以内に手続きを行わなくてはならない。

  • ただし、特別な事情があれば、3か月経過後の相続放棄も認められることがあるので、あきらめずに専門家に相談してみよう。

  • 相続人としての地位を認めるような行為をすると、3か月経過していなくても相続放棄ができなくなる。

  • 自分が相続放棄をすることで、他の家族や親族にどんな影響があるかを把握した上で放棄しよう。

  • 「相続放棄」は「相続することを放棄する」のではなく、「相続人としての立場を放棄する」という認識を持つことが大事。

■ 記事監修について

司法書士法人 花沢事務所
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